トイ・プードル 14歳 避妊メス
【飼い主様からの主訴】
吐く、下痢をする、最近やせてきた
【症状】
元気・食欲の低下、体重減少、下痢、嘔吐
【検査内容】
血液検査で総白血球数とCRPの上昇、総蛋白とアルブミンの低下が認められ、腹部エコー検査では、消化管に限局性の腫瘤病変が認められた。エコーガイド下で腫瘤病変の針吸引生検を実施したところ、未熟なリンパ球系細胞が多数認められた。
【消化管腫瘤のエコー所見】
正常な消化管の構造が消失し、消化管壁の肥厚が認められた
【消化管腫瘤の細胞診所見】
未熟なリンパ球系細胞が多数認められ、リンパ腫と診断した
【消化管腫瘤の術中所見】
消化管に腫瘤病変が形成され、内腔の狭窄と壊死を伴っていた


| 消化管腫瘤を含めた腸の切除を実施した後、元気・食欲を取り戻し、嘔吐・下痢の改善が認められました。切除した腫瘤の病理組織検査の結果、消化器型リンパ腫と診断されました。術後は抗がん剤治療を実施して、1年間は元気に生活を送ることができました。 近年、犬と猫では消化器型リンパ腫の発生が増加しています。リンパ腫は血液腫瘍であり、抗がん剤による治療が第1選択です。消化器型リンパ腫で腫瘤を形成するタイプでは、抗がん剤の治療反応性が悪く生存期間が短いこと、また、腸閉塞や消化管穿孔を起こし、死に至るケースがあります。手術により腫瘤病変を摘出して、手術後に抗がん剤治療を行うことで、長期生存できるケースがあります。 |