犬(シベリアンハスキー) 10ヶ月例 オス
浅趾屈筋腱は、犬の後ろ足のかかとの骨(踵骨)の後ろ側を通り、足先の第2~5趾(指)につながる腱です。主に指を曲げる働きを担っています。
浅趾屈筋腱脱臼とは、この腱がかかとの骨の正常な位置から内側または外側にずれてしまう病気です。腱がずれることで、痛みや腫れ、歩行障害などを引き起こします。
特に運動中や運動後に症状が現れやすく、腱の脱臼を繰り返すと、炎症や痛みが続くことがあります。
【症状】
主訴:2ヶ月継続する右後肢跛行
これまでに複数の治療を受けるも跛行の改善が認められず、精査および治療を目的に当院へ来院されました

踵(かかと)の腫脹(赤囲)

足根関節の腫脹(レントゲン検査)左:健常肢 右:患肢
【治療内容】
治療には、安静や包帯などで足を固定する保存療法と、手術があります。
腱の脱臼を繰り返したり、足を引きずる症状が長く続いたりする場合は、保存療法だけでは十分な改善が得られないことがあります。そのため、手術をおすすめする場合があります。
手術では、ずれた腱を本来の位置に戻し、損傷した支持組織を修復します。これにより、腱が安定して動けるようにします。

踵骨滑車溝形成 腱が脱臼しないよう踵骨隆起に溝を作成する
支持組織の損傷が大きい場合や、かかとの骨の形に問題がある場合は、周囲の組織を補強したり、骨の形を整えたりすることもあります。
手術後は、一定期間の安静や運動制限、包帯などによる固定が必要です。これにより、修復した組織の回復を促します。
適切な手術と術後管理によって、痛みの軽減や歩行状態の改善が期待できます。この症例も術後1ヶ月で跛行も改善し、再発なく経過良好に過ごしています。

浅趾屈筋腱の再脱臼を防止するため、吸収糸を用いて周囲の支持組織を縫合し、腱を正常な位置に固定しました。
| "浅趾屈筋腱脱臼は、比較的まれな病気です。膝蓋骨脱臼や前十字靱帯疾患など、後肢を引きずるほかの病気との鑑別が重要です。 特に、運動中だけ足を引きずる場合や、かかとの周囲が腫れている場合は、この病気の可能性があります 当院では、わらび院にて整形外科・神経外科外来を行っています。さまざまな整形外科疾患について、専門的な検査や手術を受けていただけます。 " |
わらび院では、整形外科・神経外科外来を実施しており、各種インプラントやCアームなどの高度な整形外科設備を備えています。
同様の症状がみられる場合には、ぜひ一度ご相談ください。