腫瘍科では外科手術や抗がん剤治療、
緩和治療などを行います
腫瘍科では外科手術や抗がん剤治療、緩和治療などを行います
人のがん同様、動物の腫瘍にもさまざまな種類があり、その性質や進行度にも大きな違いがあるため、他の診断・治療以上に豊富な経験や専門的な知識が求められます。
ピジョン動物愛護病院では、日本獣医がん学会の認定医が複数在籍し、積極的に外科手術や抗がん剤治療、緩和治療などを行います。
専門クリニックも併設
こんなお悩みありませんか
皮膚・胸やお腹にしこりがある
肥満細胞腫、乳腺腫瘍、皮脂腺の腫瘍など
よだれが多い、口臭がひどい
メラノーマ、扁平上皮がん、線維肉腫など
嘔吐、下痢、血便
腸腺がん、リンパ腫、消化管間質腫瘍など
鼻水、くしゃみ、鼻出血
リンパ腫、腺がん、軟部組織肉腫など
水をよく飲むようになった、尿量が増えた
リンパ腫、肛門嚢腺がん、副腎腫瘍多発性骨髄腫など
咳をする、呼吸が苦しそう
肺がん、リンパ腫、中皮腫、組織球肉腫など
元気食欲がない、やせてきた
リンパ腫、白血病、肝臓腫瘍など
血尿をする
腎臓腫瘍、膀胱・尿道移行上皮がん、前立腺がんなど
虚脱、突然ぐったりする
心臓腫瘍(ケモデクトーマなど、血管肉腫)、脾臓腫瘍(血管肉腫、組織球肉腫、軟部組織肉腫など)
発作を起こす、目が見えない
原発性脳腫瘍(髄膜腫、神経膠腫など)、転移性脳腫瘍(リンパ腫、組織球肉腫など)
診療内容
●血液腫瘍 ●皮膚・皮下組織の腫瘍 ●消化器腫瘍 ●呼吸器腫瘍 ●肝胆道系腫瘍 ●骨腫瘍 ●内分泌腫瘍 ●生殖器腫瘍 ●泌尿器腫瘍 ●脳・神経腫瘍 ●心臓・血管腫瘍 ●その他の腫瘍(軟部組織肉腫、組織球性疾患、胸腺腫)診療科目
がん治療で豊富な実績を持つ当院には腫瘍認定医が複数在籍しており、腫瘍の種類や進行度に合わせ最適な治療法をご提案しています。もちろん、飼い主様のご要望、ペットの生活を最優先しています。また、治療に際してはペットになるべくストレスがかからないような環境整備、接し方に配慮しています。
ICUでの治療も可能です。私たちは、つねに最新の治療法の導入に努め、エビデンスに基づく質の高いがん治療を提供しています。当院の腫瘍科の治療に対する方針
腫瘍科 主任獣医師
治療例
チワワ 12歳 未避妊メス
【飼い主様からの主訴】 お腹にしこりができ、急に大きくなってきた 【症状】 右第4, 5乳腺付近に腫瘤形成 【検査内容】 ・血液検査・レントゲン検査・超音波検査・腫瘤の細胞検査 右第4・5乳腺に発生した乳腺腺がんの肉眼所見 |
細胞検査の結果、腺がんを疑う所見が得られ、肺など他臓器に転移が認められなかったので、避妊手術と腫瘤を含めた片側乳腺切除術を実施しました。病理検査の結果、腫瘤は乳腺がんと診断されましたが、幸い転移は認められませんでした。現在も腫瘍の再発はなく元気に生活を送っています。 避妊手術によって、他の乳腺に新たな腫瘍の発生を防ぐとともに、子宮蓄膿症などの危険な病気も予防できたため、飼い主様もワンちゃんも安心して元気に毎日を過ごされています。 |
トイ・プードル 14歳 避妊メス
【飼い主様からの主訴】 吐く、下痢をする、最近やせてきた 【症状】 元気・食欲の低下、体重減少、下痢、嘔吐 【検査内容】 血液検査で総白血球数とCRPの上昇、総蛋白とアルブミンの低下が認められ、腹部エコー検査では、消化管に限局性の腫瘤病変が認められた。エコーガイド下で腫瘤病変の針吸引生検を実施したところ、未熟なリンパ球系細胞が多数認められた。 【消化管腫瘤のエコー所見】 正常な消化管の構造が消失し、消化管壁の肥厚が認められた 【消化管腫瘤の細胞診所見】 未熟なリンパ球系細胞が多数認められ、リンパ腫と診断した 【消化管腫瘤の術中所見】 消化管に腫瘤病変が形成され、内腔の狭窄と壊死を伴っていた |
消化管腫瘤を含めた腸の切除を実施した後、元気・食欲を取り戻し、嘔吐・下痢の改善が認められました。切除した腫瘤の病理組織検査の結果、消化器型リンパ腫と診断されました。術後は抗がん剤治療を実施して、1年間は元気に生活を送ることができました。 近年、犬と猫では消化器型リンパ腫の発生が増加しています。リンパ腫は血液腫瘍であり、抗がん剤による治療が第1選択です。消化器型リンパ腫で腫瘤を形成するタイプでは、抗がん剤の治療反応性が悪く生存期間が短いこと、また、腸閉塞や消化管穿孔を起こし、死に至るケースがあります。手術により腫瘤病変を摘出して、手術後に抗がん剤治療を行うことで、長期生存できるケースがあります。 |
雑種犬 14歳 去勢オス
【飼い主様からの主訴】 突然倒れた、ぐったりとしている 【症状】 虚脱、低体温、腹部膨満 【検査内容】 血液検査で重度の貧血とCRPの上昇、腹部エコー検査では脾臓に巨大な腫瘤病変を認め、大量の血液が腹腔内に貯留していたことから、脾臓腫瘍の破裂による腹腔内出血と診断した 【脾臓に発生した腫瘤病変のエコー所見】 腫瘤は破裂しており、大量の血液が腹腔内に貯留していた |
輸血を行いながら、緊急手術で脾臓摘出を実施したところ、一命を取り留め、無事に退院することができました。摘出した腫瘤の病理検査結果は血管肉腫でした。 術後補助的に抗がん剤治療を提案しましたが、飼い主様は積極的な抗がん剤治療を希望されませんでしたので、メトロノーム化学療法(低用量の抗がん剤を反復投与する治療)により在宅治療を行うことにしました。 6ヶ月後に腫瘍の転移が認められましたが、それまでは元気に過ごされていました。 |
設備紹介
血液検査
多項目自動血球計算装置 |
赤血球、白血球、血小板の数を測定する装置。血液腫瘍やがんに伴う血球数の異常を検出します。 |
血液化学分析装置 |
血液化学スクリーニング検査を5検体同時に行うことができる分析措置。全身状態の評価や腫瘍随伴症候群の検出が可能です。 |
顕微鏡検査
顕微鏡 |
血液や骨髄塗抹、針吸引生検などで得られた細胞を詳細に観察する検査器具。得られた生検サンプルから腫瘍細胞の検出・同定が可能です。 |
画像検査
レントゲン検査装置 |
頭部や胸部、腹部臓器、四肢骨格の形態や、X線透過性の評価に活用。胸腔・腹腔内腫瘤病変や肺・骨の原発・転移病変を検出できます。 |
内視鏡 |
小型犬や猫、大型犬まで、動物の体格に合わせた検査が可能な専用の内視鏡。開腹することなく、消化管の疾患を診断できるため、動物に大きな負担をかけません。また、異物の除去や栄養チューブの設置などの処置でもこの内視鏡を使用します。 なお当院では、内視鏡診断に習熟した獣医師が検査にあたります。 |
骨髄検査 |
骨髄中の細胞の形態・細胞数を評価する検査。コア生検を採取し、病理組織検査も行えます。白血病の診断や、がんの発生、浸潤に伴う血球異常の原因特定が可能です。 |
超音波検査装置 |
胸腔・腹腔内臓器の形態や内部構造の詳細な評価を行うことができます。また、胸水・腹水を採取する際や、体腔内の腫瘤に対して針吸引生検を実施する際などにも、補助的に使用します。 |
外科手術機器
FORCETRIAD |
外科手術時に汎用される電気メス。モノポーラとバイポーラ型の双方が使用できます。組織の凝固や切開が的確に行え、出血時の迅速な止血が可能なため、手術操作時の安全性が飛躍的に向上しています。 |
超音波手術システム |
超音波振動を利用して生体組織の切開・凝固・乳化、穿刺を可能にするシステム。超音波振動で血管を溶着・封鎖・切断するため、縫合糸を使用せずに血管の処理が可能。 体内に使用する縫合糸の量を減らせ、手術時間も短縮できるため、動物の負担を軽減できます。 |
サージカル・ルーペ |
鮮明な視野の確保と、繊細な組織操作が可能な医療用拡大鏡。腫瘍の剥離や血管の分離・結紮を行う場合でも無駄な組織損傷を防ぐことができ、正確で繊細な手術操作が実施できるのが特長。手術侵襲が減るため、動物の負担を減らせます。 |